もちろんどんなスポーツでも、基礎的な技術がともなわなければなりません。ですから実際の練習をしながら、本番さながらのイメージングを行えば、脳はその擬似体験を通じて、本番での運動機能や心理状態をリハーサルし、恐怖心、あがり、プレッシャーなどをおさえ、最高のプレーを行わせるのです。
イメージが鮮明になればなるほど、脳は実際に行ったことのように運動機能を調節し、いいショットが打てるように身体機能を働かせます。
ところが、実際の練習では、成功は何回かに一回でしょう。そして困ったことに、失敗経験も増えていきます。それがその後のプレイ時の不安感を強くするのです。ですから、単にイメージ上でリハーサルするだけでなく、実際の練習時に最高のプレーをイメージ上に描きながら練習を行うのです。
ゴルフの帝王、ジャック・ニクラウスは、「私のプレーの五〇%は、イメージに支えられている」と語っています。彼は、ふだんの練習でも、まず自分の最高のショットをイメージするそうです。そして本番では必ず、スイングを起こす前に、その状況に応じた最高のショットをイメージするといいます。これが、彼の正確なショット、ゲームメーキングのうまさ、プレッシャーに負けない心の強さのもとなのでしょう。
しかし私達人間は、願望が大きいほどに、いいイメージをもつことが難しいのです。その上イメージには、心身にいい刺激を与えるものと、影響を与えないもの、さらに悪い刺激になるものがあります。
ですから、効果的なイメージングの技術の収得には、それなりのトレーニングが必要です。そして、このトレーニング(イメージング)を自分の脳だけにたよって行い続けることは難しいのです。
シャルル・ドゥワサロン http://www.charlesdoi.co.jp